市場は自殺しない。

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しかし、淘汰が進んでくると、市場における企業の数が少なくなってくる。寡占だ。最悪の場合、独占になるだろう。

すなわち、市場経済における自由競争は、自由競争のない状態を必然的に作り出す。すなわち、自由市場は自殺するのである。

独占を自殺に言い換えて、市場を擬人化しているだけで何も説明していません。

第一、独占状態が永遠に続くことを市場は保証していません。
独占状態が続いているならば、それは競争を挑み勝利するチャンス。


また、独占状態になったからといって、その市場が馬車や8ビットパソコンといった、すでに需要も供給も少なく競争の余地の無い小さな市場なら何の問題も無い。

市場は自殺しない。そこで行われる取引が無くなることで消え去るか、取引が始まるところに生まれ、他の市場と合体して新たな市場を作りだしたりすることを繰り返す。

しかし、独占が生み出す(1)スケールメリットと(2)ネットワーク外部性の富は、地道な企業努力をするのなんか、バカバカしくなるほど、あまりにも爆発的に巨大である。
また、地道な努力により、じっくりと価値創出し、人々の暮らしを豊かにする人間に分配される富と、単に目端が利いて、素早く、独占による富をゲットするのが得意な椅子取りゲームの達人に分配される富とでは、あまりにも差がありすぎるのではないか?

独占を維持し、スケールメリットネットワーク外部性を維持するためには地道な企業努力が必要だし、地道な努力によるじっくりとした価値創出が人々の暮らしを豊かにするとは限らない。努力とそれにかけた期間の長さと社会的価値には何の関係も無い。
目の前に落ちている金は、誰よりも早く拾った人のものになる。その金額が大きいからと言っていちゃもんを付けるのは嫉妬に過ぎない。

はてなダイアリーより、後発のYahooブログが、はてなダイアリーを一瞬で抜き去れるのは、Yahooの企業努力よりも、(1)スケールメリットと(2)ネットワーク外部性の生み出す富によるところが、はるかに大きいのだ。

Yahooがスケールメリットネットワーク外部性を維持するために、知名度を高く維持しようと様々な企業努力を行った結果がYahooブログの勝利。ところで、抜きさったことに何の意味が?

かなり腐敗が進んでも、(1)スケールメリットと(2)ネットワーク外部性によって、必死で価値ある企業努力をつづけるライバル企業よりは、良いサービスを提供できてしまうからだ。市場による腐敗防止効果が働かないからだ。

良いサービスを提供しているのだから、腐敗防止効果が働かないのは当たり前。
また、企業が腐敗するというのも彼の願望にすぎない。

ヌルい努力で、簡単に成功がゲットできるというのは、短期的には楽ちんだが、長期的に見ると、自分の価値創出能力が目減りし、歩く不良債権にしてしまうのだ。

Yahooに雇用された程度で「成功」などと言えちゃう人は、何をやっても長期的には並以下の人間になってしまうと思う。
ていうか、Yahoo社員同士でも競争が有るわけで、価値創出能力は高まるような。